あらすじ
帝国暦483年。少佐となったラインハルトは、イゼルローン要塞駐留艦隊に所属する駆逐艦エルムラントⅡの艦長を務めていた。難攻不落のイゼルローン要塞だったが、同盟軍もその攻略を諦めてはおらず、近々5回目の大攻勢があるのでは、と噂されていた。そんな緊迫した時期にあって、イゼルローン要塞に一人の憲兵少佐が赴任してきた。彼はグレゴール・フォン・クルムバッハ少佐と名乗り、ラインハルトの上官であるレンネンカンプに、ラインハルトの身辺を内密に調査すると告げる。ラインハルトを尋問するクルムバッハ少佐。惑星カプチェランカでの行動について問い質されたラインハルトは……
作品考察・見どころ
本作が放つ唯一無二の魅力は、銀河の覇権を狙う若き天才たちの黎明期の輝きを、極めて耽美かつ詩的な映像美で切り取った点にあります。緑川光が魂を吹き込んだラインハルトの、気高き野心と内面に秘めた繊細な揺らぎは、観る者の心を一瞬で捉えて離さない圧倒的なカリスマ性と、若さゆえの危うさを鮮烈に体現しています。
冷徹な宇宙空間と対照的に描かれる、二人の間に流れる情熱的で静謐な信頼関係の描写こそが本作の真骨頂です。一切の無駄を削ぎ落とした緊迫感あふれる演出は、個人の強い意志が歴史という巨大な奔流を突き動かしていくカタルシスを見事に生み出しており、壮大な叙事詩の幕開けにふさわしい至高の人間ドラマを完成させています。