巨大な知性ヤンが斃れた後の虚脱感。藤崎版が描くのは、英雄の不在がもたらす歴史の残酷な沈黙です。単なる戦記を超え、遺志を継ぐ者の葛藤という普遍的な宿命を、大胆な構図と圧倒的な熱量で抉り出しています。喪失に震える宇宙の静寂は、読者の魂に鋭く突き刺さるでしょう。
映像化もされていますが、漫画ならではの鋭利な心理描写が本作の真骨頂です。アニメ版が壮大な叙事詩であるならば、藤崎版は尖った筆致で内なる情念を暴き出す「劇薬」と言えます。映像では捉えきれない、歴史の歯車が軋む音を視覚的に補完するこの表現は、原作の魅力をより深く、そして激しく増幅させています。