あらすじ
構想30年、ついに結実!
田中芳樹が描く、ユーラシアを駆けた将軍。
連勝不敗。新兵器を用い、モンゴル軍を率いて
イスラムを震撼させた智と勇の名将、郭侃。
知られざる英雄を描く歴史巨編。
1253年、イスラム世界の征服と領土拡大を目論むモンゴル帝国は、ユーラシア大陸を西に跨ぐ大規模な遠征を始めた。祖父の代からモンゴルに仕え、攻城戦と砲術に長けた漢人の勇将・郭侃は、新兵器「回回砲」を駆使し次々に各地を攻略する。進撃を続ける彼には「海に沈む夕日を見たい」という願いがあった。歴史に埋もれた「不敗の男」の生涯を描く、圧巻の中国歴史巨編。
ISBN: 9784396351649ASIN: 439635164X
作品考察・見どころ
田中芳樹氏が三十年の歳月を費やし辿り着いた本作は、単なる歴史絵巻の枠を超えた「個の矜持」の物語です。モンゴル帝国の圧倒的な暴力と知略が交錯する中、漢人将軍・郭侃という異端の存在を軸に、国家や民族という巨大なシステムに抗い、あるいは同化しながらも己を失わない人間の強靭さが、端正な筆致で鮮やかに描き出されています。 特筆すべきは、新兵器による破壊の喧騒と、主人公が抱く「海に沈む夕日を見たい」という静謐な渇望との対比です。流血の果てに何を見つめるのか。不敗を誇る名将の背中に漂う孤独と、落日の美しさに擬せられた人生の哀愁は、読者の魂を激しく揺さぶります。歴史の激流を俯瞰する巨匠の眼差しが、一人の男の生涯に至高の輝きを与えた珠玉の一冊です。


















