あらすじ
ISBN: 9784167515027ASIN: 4167515024
広大な大地と海に囲まれ、正確に季節がめぐるアラスカ。1978年に初めて降り立った時から、その美しくも厳しい自然と動物たちの生き様を写真に撮る日々。その中で出会ったアラスカ先住民族の人々や開拓時代にやってきた白人たちの生と死が隣り合わせの生活を、静かでかつ味わい深い言葉で綴る33篇を収録。
星野道夫が綴る言葉は、アラスカという鏡を通して私たちの生を問い直す深遠な文学です。一本の木が数百年を旅するように、人間の命もまた壮大な循環の一部であることを、祈るような静謐さで描き出しています。厳寒の地で繰り返される生と死を見つめるその眼差しは、読む者の魂を根源的な安らぎへと導きます。 本書の魅力は、日常の裏側で流れる「もう一つの時間」を提示する点にあります。都会の喧騒の中でも、悠久の時を刻む氷河が今この瞬間に存在しているという視座は、閉塞感に満ちた現代人を解放してくれます。失われゆく野生への哀愁と、力強い生命への賛歌が響き合う、一生を共にする価値のある傑作です。