あらすじ
ISBN: 9784167773502ASIN: 4167773503
秋内、京也、ひろ子、智佳たち大学生4人の平凡な夏は、まだ幼い友・陽介の死で破られた。飼い犬に引きずられての事故。だが、現場での友人の不可解な言動に疑問を感じた秋内は動物生態学に詳しい間宮助教授に相談に行く。そして予想不可能の結末が…。青春の滑稽さ、悲しみを鮮やかに切り取った、俊英の傑作ミステリー。
道尾秀介が描くのは、瑞々しくも残酷な青春の断片です。本作は単なる謎解きに留まらず、若さゆえの傲慢さと繊細さが、動物生態学という視点と鮮やかに交差する点に真の価値があります。読者は登場人物たちの痛切な後悔に寄り添いながら、世界のあり方が一変する衝撃を味わうことになるでしょう。 特筆すべきは、物言わぬ犬の行動を通じて人間のエゴを浮き彫りにする構成の妙です。真実に辿り着いた瞬間に立ち込める、美しくもやり切れない哀しみ。それは、かつて若者だった者が胸に秘める、忘れがたい季節の記憶を呼び覚まします。技巧と叙情が奇跡的に結実した、魂を揺さぶる傑作です。