あらすじ
ISBN: 9784101355511ASIN: 4101355517
夏休みを迎える終業式の日。先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪れた。きい、きい。妙な音が聞こえる。S君は首を吊って死んでいた。だがその衝撃もつかの間、彼の死体は忽然と消えてしまう。一週間後、S君はあるものに姿を変えて現れた。「僕は殺されたんだ」と訴えながら。僕は妹のミカと、彼の無念を晴らすため、事件を追いはじめた。あなたの目の前に広がる、もう一つの夏休み。
道尾秀介氏の真骨頂は、日常の裏側に潜む歪んだ現実を、美しくも残酷に描き出す筆致にあります。本作は単なるミステリーの枠を超え、少年の純粋さと狂気が混ざり合う、危うい精神世界を浮き彫りにしています。向日葵という輝かしい象徴の裏に隠された、救いようのない孤独と人間の業が、読者の倫理観を激しく揺さぶる傑作です。 読者を待ち受けているのは、世界が音を立てて崩壊するような衝撃の体験です。事実と主観の境界が曖昧になり、誰を信じ、何を真実とするかという根源的な問いを突きつけられます。この物語が放つ異様な熱気と、読了後に押し寄せる切なくも不気味な余韻は、活字という媒体でしか表現し得ない深淵な文学的魅力を存分にたたえています。