あらすじ
死んだ妻に会いたくて、霊現象探求所を構えている真備。その助手の凛。凛にほのかな思いをよせる、売れないホラー作家の道尾。三人のもとに、今日も、傷ついた心を持った人たちがふらりと訪れる。友人の両親を殺した犯人を見つけたい少年。拾った仔猫を殺してしまった少女。自分のせいで孫を亡くした老人...。彼らには、誰にも打ち明けられない秘密があった。「流れ星のつくり方」「花と氷」ほか、人生の光と影を集めた五篇。
ISBN: 9784344009370ASIN: 4344009371
作品考察・見どころ
道尾秀介が描くのは、ミステリの形を借りた切実な魂の救済です。本作の核心は、拭いきれない罪や喪失を抱える人々が、いかにして再び光を見出すかというテーマにあります。単なる謎解きを超え、心の暗部に潜む微かな希望を鮮やかにすくい上げる著者の眼差しは、読者の心に静かな、しかし強烈な感動を刻み込みます。 登場人物たちが織りなす絶妙な距離感と、事件の裏に隠された嘘の正体こそが文学的な醍醐味です。残酷な現実さえも生きる力へと変えていく、美しく切ない詩情。それは、凍てついた心を溶かす魔法のような読書体験をもたらします。一筋の流れ星が消えた後に残る温かな余韻を、ぜひその肌で感じてみてください。