道尾秀介が描く本作は、人間の抗えない運命を「雷」という天災に託した、魂を揺さぶる傑作です。過去に飲み込まれた姉弟の孤独と、世代を超えて連鎖する悲劇。読者は著者が仕掛けた精密な叙述の迷宮に迷い込み、善悪の境界線が溶解していく瞬間に立ち会うことになります。
真実が明かされるとき、私たちは「人は赦されるのか」という重い問いを突きつけられ、最後の一行で世界が反転する衝撃に震えるでしょう。静謐な文体の中に潜む狂気と、家族を想う狂おしいまでの愛。その圧倒的な熱量と文学的企みに、読後の吐息すら忘れてしまうはずです。