あらすじ
ISBN: 9784101355573ASIN: 4101355576
あの日、雷が落ちなければ、罪を犯すことはなかったーー。埼玉で小料理屋を営む藤原幸人【ゆきひと】を襲った脅迫電話。電話の主が店に現れた翌日、娘の夕見【ゆみ】から遠出の提案を受ける。新潟県羽田上【はたがみ】村ーー幸人と姉・亜沙実の故郷であり、痛ましい記憶を封じ込めた地だった。母の急死と村の有力者の毒殺事件。幸人らが村を訪れると、凄惨な過去が目を醒まし……。最後の一行まで最上級の驚愕が続くミステリ。
道尾秀介が描く本作は、人間の抗えない運命を「雷」という天災に託した、魂を揺さぶる傑作です。過去に飲み込まれた姉弟の孤独と、世代を超えて連鎖する悲劇。読者は著者が仕掛けた精密な叙述の迷宮に迷い込み、善悪の境界線が溶解していく瞬間に立ち会うことになります。 真実が明かされるとき、私たちは「人は赦されるのか」という重い問いを突きつけられ、最後の一行で世界が反転する衝撃に震えるでしょう。静謐な文体の中に潜む狂気と、家族を想う狂おしいまでの愛。その圧倒的な熱量と文学的企みに、読後の吐息すら忘れてしまうはずです。