あらすじ
読み進めるごとに反転する出来事の〈意味〉その鍵を握るのは、一体誰なのかーー 本書は間違いなく、その執筆活動の集大成である --ミステリ評論家・千街晶之(解説より) 遺影専門の写真館「鏡影館」。その街を舞台に、男子小学生から死を目前に控えた老女まで、様々な人物たちの人生が交差していくーー。数十年にわたる歳月をミステリーに結晶化する、技巧と世界観。朝日新聞連載の「口笛鳥」を含む、道尾秀介にしか描けない、その集大成といえる傑作長編小説。 ささいな嘘が、女子高校生と若き漁師の運命を変えるーー『心中花』まめ&でっかち、小学5年生の2人が遭遇した“事件”--『口笛鳥』 自らの死を前に、彼女は許されざる“罪”を打ち明けるーー『無常風』 各章の登場人物たちが運命にいざなわれて一堂に集うーー『待宵月』
ISBN: 9784022649775ASIN: 4022649771
作品考察・見どころ
道尾秀介が到達した、因果の糸を紡ぎ上げる筆致の極致です。本作の核心は、単なる謎解きではなく、数十年にわたる歳月が織りなす「必然という名の奇跡」にあります。写真館という時を止める装置を起点に描かれるのは、些細な選択が他者の人生を揺さぶる残酷さと、その先に灯る救いの光。風神の手に導かれるような予測不能な帰結に、読者の魂は激しく揺さぶられるでしょう。 特筆すべきは、人物造形の深みと、感情の機微を掬い取る描写の鋭さです。後悔を抱えた人々が真実に触れる瞬間、物語は読者自身の記憶とも共鳴し始めます。言葉の裏に隠された真実を紐解く静かな昂揚感は、文芸ならではの贅沢な体験です。道尾文学の集大成として、読後の余韻が人生観さえも変えてしまう、凄まじい熱量を秘めた傑作です。