あらすじ
タイムカプセルに託した未来と、水没した村が封印した過去。時計の針を動かす、彼女の「嘘」。平凡な毎日を憂う逸夫は文化祭をきっかけに同級生の敦子と言葉を交わすようになる。タイムカプセルの手紙を取り替えたいという彼女の頼みには秘めた真意があった。同じ頃、逸夫は祖母が五十年前にダムの底に沈めた「罪」の真実を知ってしまう。それぞれの「嘘」が、祖母と敦子の過去と未来を繋いでいく。
タイムカプセルに託した未来と、
水没した村が封印した過去。
時計の針を動かす、彼女の「嘘」。
平凡な毎日を憂う逸夫は文化祭をきっかけに同級生の敦子と言葉を交わすようになる。タイムカプセルの手紙を取り替えたいという彼女の頼みには秘めた真意があった。同じ頃、逸夫は祖母が五十年前にダムの底に沈めた「罪」の真実を知ってしまう。それぞれの「嘘」が、祖母と敦子の過去と未来を繋いでいく。
「今」彼女が手紙を取り替えなくてはならない理由。
あの二つの出来事がもし、同じ時期に起こらなかったらーー。
「暗闇」から射し込む「光」は、救いなのか、それとも。
道尾秀介しか描けない、絶望と、それを繋ぐ希望。
ISBN: 9784062778312ASIN: 4062778319
作品考察・見どころ
水底に沈んだ過去と、タイムカプセルに託された未来。道尾秀介は「嘘」という切実な祈りを媒介に、断絶された時間を鮮やかに接続してみせます。本作の神髄は、水というモチーフが象徴する「忘却」と「保存」の二面性にあります。静謐な文体で描かれる罪と救済のドラマは、読者に人間の業と美しさの同居を突きつけます。 閉ざされた記憶が解き放たれる瞬間のカタルシスは、ミステリの枠を超えた深遠な文学的感動を呼び起こします。深い闇を知る著者だからこそ描ける、絶望の先に射し込む一筋の光。過去を抱えながらも明日を希求するすべての人へ贈られた、魂を揺さぶる至高の人間賛歌です。