あらすじ
大停電の夜、
玄関で倒れていた見知らぬ青年。
意識朦朧の彼は何者なのか?
招き入れたのは誰?
桜石一家には、全員裏がある。
「あなた」も「私」も、みんな嘘をついている。
「ふつうの家族」に隠された秘密。暗闇の中、照らし出される「過去の記憶」。
湘南の地に一戸建てを構える桜(さくら)石(いし)家。何か特別なところがあるわけではない、絵に描いたような「ふつうの家族」の、はずだった。ある嵐の夜、桜石家に現れたのは一人の若い男。高熱をだして倒れ込んでいた男は家族の誰かが引き入れたに違いない。誰が、なんのためにこんなことをしたのか? 家族が互いに疑念を募らせていくうちに、それぞれ家族には言えなかった「秘密」があぶり出されていくーー。
四国新聞、大分合同新聞、愛媛新聞、神奈川新聞、千葉日報、沖縄タイムス、山梨日日新聞、秋田魁新報、北日本新聞、福井新聞に連載され、多くの読者の心をつかんだ、令和の家族のカタチ。
読み終えたとき、あなたも私も、みんな家族に秘密を打ち明けたくなる!
作品考察・見どころ
本作が突きつけるのは、私たちが盲信する「ふつう」という概念の危うさです。湘南の平穏な一戸建てを舞台に、大停電という極限の闇が、普段は蓋をされていた家族それぞれの歪みを鮮烈に浮かび上がらせます。辻堂ゆめ氏は、緻密な心理描写によって「最も身近な他者」である家族の正体を暴き、読者の足元を揺さぶる名手であることを改めて証明しました。 誰が侵入者を招いたのかというミステリの枠組みを超え、物語は罪悪感と再生の物語へと昇華されます。一つひとつの嘘が剥がれ落ちるプロセスは、単なる暴露ではなく、真の意味で家族が向き合うための儀式のようにさえ感じられます。読了後、あなたの隣にいる家族の表情が違って見えるはず。その驚愕と感動を、ぜひその目で確かめてください。