あらすじ
ISBN: 9784344418530ASIN: 4344418530
死んだ妻に会いたくて、霊現象探求所を構えている真備。その助手の凛。凛にほのかな思いを寄せる、売れない作家道尾。三人のもとに、傷ついた心を持った人たちが訪れる。友人の両親を殺した犯人を見つけたい少年。自分のせいで孫を亡くした老人…。彼らには誰にも打ち明けられない秘密があったー。人生の光と影を集めた、心騒ぐ五篇。
ミステリの技巧を尽くしながら、本作が描き出すのは人間の業と再生の物語です。道尾秀介は、癒えない傷を抱えた訪問者たちの隠された痛みを、論理という光で暴くのではなく、共感という祈りで包み込みます。影が深いほど光は際立つという真理を、これほどまでに残酷かつ美しく表現した短編集は他にありません。 死者への未練や罪悪感という重層的なテーマが、三人の軽妙な掛け合いと対比され、物語に奥行きを生んでいます。真実の果てに用意された嘘が、何よりの救いとなる瞬間、読者の心は激しく震えるでしょう。哀しみを知るすべての人に、魂の救済として捧げられた珠玉の一冊です。