骸の爪
あらすじ
ISBN: 9784344413603ASIN: 4344413601
ホラー作家の道尾は、取材のために滋賀県山中にある仏像の工房・瑞祥房を訪ねる。彼がその夜見たものは、口を開けて笑う千手観音と、闇の中で血を流す仏像。しかも翌日には仏師が一人消えていた。道尾は、霊現象探求家の真備、真備の助手・凛の三人で、瑞祥房を再訪し、その謎を探る。工房の誰もが口を閉ざす、二十年前の事件とはいったい。
道尾秀介が描くのは、静謐な恐怖と緻密な論理性が共鳴する、五感を震わせるミステリです。仏像が血を流すという幻想的な怪異を、単なるホラーに留めず人間の深い業へと結びつける筆致は円熟の極み。神聖な工房に漂う禍々しさが、読者を逃れられない迷宮へと誘います。 物語の深淵に横たわるのは、二十年という歳月が醸成した、残酷なまでに純粋な愛執です。真備、道尾、凛の三人が織りなす関係性が、重苦しい真実に鮮やかな色彩を与えています。恐怖の果てに露わになる人間の真実の姿を見届けたとき、あなたの心には冷たくも激しい衝撃が刻まれるはずです。