あらすじ
故郷の筑豊を離れ、上京してから七年。葛藤、挫折、再起をくり返し苦悩する伊吹信介は、ユーラシア大陸横断の大望を胸に秘め、シベリアへの密航を果たす。国際情勢の複雑多岐な現実に戸惑いながらも、大自然に生きる人々との出逢いに心打たれる信介。未知の世界の息吹に触れ、冒険の旅は続く。不滅の超大作・第八部
斑鳩への単独行
ハーレーに乗る男
大和から河内への旅
ホールの楽屋口で
若いマネージャー
北へ帰る日
出立前夜
イッツ・ア・ロングウェイ
運命の大きな手
シベリアの荒野
ハバロフスクの街角
華麗なるパーティー
スミルノフ将軍の招待
両国共同の秘密事業
ミスターXの家で
日本人の知らない場所
遺された手記
危機せまる
兵士たちの影
アムール一族の村
筑豊を遠くはなれて
旅立ちの準備
解説 山内亮史(旭川大学学長)
ISBN: 9784062934862ASIN: 4062934868
作品考察・見どころ
本作は、筑豊という土着の魂を抱えた伊吹信介が、ユーラシアの荒野へと己を放つ「脱皮」の物語です。五木寛之氏が描くのは単なる冒険ではなく、過酷な風土で削ぎ落とされる自意識と、消えない望郷の相克です。この魂の葛藤こそが文学的な輝きの正体であり、読者の心を震わせる本質的な魅力といえます。 映像版では北の大地の雄大さが視覚を圧倒しますが、小説の醍醐味は信介の内に渦巻く静かな独白にあります。映像の躍動と、文章が奏でる深い精神性。この両輪が重なることで、一人の青年が不条理な世界に直面し、真の個へと自立する壮絶なドラマが完成するのです。


















