あらすじ
ジャンルを越え、小説の面白さをとことんまで追求した画期的アンソロジー。第18回配本の第6巻は「逃亡者」と「追跡者」の間に生まれるサスペンス満点のハードボイルド長編の傑作2編をメインに、硬軟織り交ぜた短掌編も合わせて全13編を収録。
●編集委員/逢坂剛 大沢在昌 北方謙三 船戸与一 夢枕獏
[編集室から]
生島治郎作品は愛弟子だった大沢在昌委員の鶴の一声でこの長編となった。もう一編の長編は五木寛之のハードボイルドから「裸の町」が選ばれた。すると「追跡」がこの巻のキーワードとなる。
短掌編11編は、剛速球と変化球を織り交ぜることができた。中薗英助は埋もれて忘れられてしまっていい作家ではない。また、あの吉行淳之介が掌編の名手であったことをご存知か? 実はそうなのだ。
[収録作]
【長編】
五木寛之「裸の町」
生島治郎「男たちのブルース」
【短編】
高城高「汚い波紋」
都築道夫「まだ日が高すぎる」
中薗英助「外人部隊を追え」
山本周五郎「ひとごろし」
筒井康隆「走る取的」
【掌編・ショートショート】
稲垣足穂「お月様とけんかした話」
吉行淳之介「追跡者」
小泉八雲「むじな」
城昌幸「花結び」
夢枕獏「二階で縫いものをしていた祖母の話」
星新一「復讐」
◇解説/大沢在昌 解題/新保博久
映画・ドラマ版との違い・考察
追跡と逃亡。本作が描き出すのは単なる物理的な距離の攻防ではなく、極限状態で削り出される魂の純度です。五木寛之の都会的ニヒリズムと生島治郎が放つ無骨な熱。読者は、追う者と追われる者が鏡合わせのように共鳴し、孤独を分かち合う瞬間を目撃するでしょう。人間の本質を抉り出す冷徹かつ情熱的な筆致は、ページをめくる手を止めさせない魔力に満ちています。 映像化された作品群は視覚的な緊迫感を際立たせますが、原作には五感を刺激する都市の匂いや、行間に潜む重厚な叙情性が宿っています。映像のダイナミズムと、活字ならではの濃密な心理描写。両者を往復することで、追跡劇という様式美の背後にある生きることの不条理が、より鮮明に、より深く読者の胸に突き刺さるはずです。


















