あらすじ
親鸞は比叡山での命がけの修行にも悟りを得られず、六角堂へ百日参籠を決意する。そこで待っていたのは美しい謎の女人、紫野との出会いだった。彼が全てを捨て山をおりる決意をした頃、都には陰謀と弾圧の嵐が吹き荒れていた。そして親鸞の命を狙う黒面法師。法然とともに流罪となった彼は越後へ旅立つ。
吉水の草庵にて
選択ということ
法然上人の目
春の夜の誘惑
犬麻呂と綽空
迫りくる嵐の予感
異端の渦の中で
餌取小路の夜
七ヵ条の起請文
恵信の選択
綽空から善信へ
遠雷の夏
法勝寺炎上
首斬られ念仏
別れと旅立ちのとき
愚禿親鸞の海
あとがき
ISBN: 9784062770613ASIN: 406277061X
映画・ドラマ版との違い・考察
五木寛之氏が描く『親鸞』の真髄は、聖人君子の偶像を解体し、血の通った一人の「人間」としての苦悩を抉り出す筆致にあります。比叡山を下り、情念と政治の荒波に身を投じる親鸞の姿は、泥中にありながら光を求める魂そのもの。テキストだからこそ描ける深遠な内省と、揺れ動く信仰の葛藤が、読者の胸に凄まじい熱量で迫ります。 映像化作品では、動乱の京や流罪地の峻烈な情景が視覚的に補完され、物語に躍動感を与えています。一方で、原作には映像では捉えきれない、沈黙のなかに響く「言葉の磁力」が宿っています。映像のダイナミズムで世界観を体感し、活字によって親鸞の心の深淵を旅する。この相乗効果こそが、時代を超えて人々を魅了し続ける人間ドラマを味わい尽くす醍醐味といえます。


















