筑豊の土の匂いから逃れ、孤独な都会で己を模索する少年の魂の叫びが、この作品の本質です。浦山桐郎監督の冷徹かつ叙情的な演出は、単なる青春群像劇を超え、戦後日本の熱気と虚脱を鮮烈に映し出します。田中健が体現する未熟ゆえの脆さと、大竹しのぶの魂を揺さぶるような純真な演技は、観る者の心に消えない火を灯すでしょう。
五木寛之の壮大な原作が持つ思索的な奥行きを、映画は肉体の躍動と情景のコントラストへと見事に昇華させました。活字では捉えきれない、夕闇に沈む炭鉱の影や都会の乾いた空気感が、自立という名の痛みをより残酷に、そして美しく際立たせています。言葉を尽くす以上の説得力が映像には宿っており、若者が大人へと脱皮する瞬間の輝きに胸を打たれます。