あらすじ
ISBN: 9784167665012ASIN: 4167665018
新宿でオカマの「閻魔」ちゃんと同棲して、時々はガールフレンドとも会いながら、気楽なモラトリアムの日々を過ごす「ぼく」のビデオ日記に残された映像とは…。第84回文学界新人賞を受賞した表題作の他に、長崎の高校水泳部員たちを爽やかに描いた「Water」、「破片」も収録。爽快感200%、とってもキュートな青春小説。
吉田修一の原点であり、都会を漂流する魂の揺らぎを透明な筆致で捉えた傑作です。ビデオ日記という装置を通じ、生の輪郭がぼやけていく日常は、幸福と空虚が背中合わせの危うい美しさを放っています。他者との距離感を曖昧に保つモラトリアムの空気が、これほどまでに切なく、鮮烈に描かれた作品は他にありません。 怪物的な包容力を持つ閻魔ちゃんとの関係は、血縁を超えた絆の形を提示します。何者でもない自分を愛し、時に突き放す都会の喧騒。その中心で呼吸する若者の孤独が、著者特有の体温を感じさせる文体で結晶化されています。青春の輝きと残酷さを抱きしめるような、至高の読書体験を約束する一冊です。