あらすじ
ISBN: 9784163914879ASIN: 4163914870
僕が恋したのは、美しい80代の女性でした…。大学院生の岡田一心は、伝説の映画女優「和楽京子」こと、鈴さんの家に通って、荷物整理のアルバイトをするようになった。鈴さんは一心と同じ長崎出身で、かつてはハリウッドでも活躍していた銀幕のスターだった。せつない恋に溺れていた一心は、いまは静かに暮らしている鈴さんとの交流によって、大切なものに触れる。まったく新しい優しさの物語。
吉永小百合、推薦。
「彼女は亡くなり、私は生きた」
鈴さんの哀しみが深く伝わって来ました。
作家の故郷への思いを
私は今、しっかりと受け止めたいです。
吉田修一が到達した、静謐かつ圧倒的な慈しみの物語です。伝説の大女優と青年の魂の交錯を描く筆致は、銀幕の光彩を彷彿とさせつつ、内奥の孤独を鮮やかに炙り出します。スターダムの裏側の痛みを、単なる感傷ではなく、血の通った歴史の重みへと昇華させる手腕は見事です。 核心は、長崎の記憶を個人の生と響き合わせる点にあります。未来を歩む者への祈りが込められた本作は、読者の心に優しくも鋭い光を投げかけます。光と影を編み上げる圧巻の構成力に触れたとき、あなたは真の「優しさ」の意味を識るはずです。