あらすじ
大宮の地にそびえたつ地上35階建ての超高層ビル。それはフロアがねじれながら、巨大な螺旋を描くという、特異な構造をもっていた。設計士・犬飼と鉄筋工・隼人、ふたりの毎日もビルが投影したかのように不安定になり、ついにゆがんだ日常は臨界点を超える。圧巻の構想力と、並はずれた筆力で描く傑作長編。(講談社文庫)
今、何かが壊れ始める……
大宮に姿を現した超高層ビル。建設に携わる設計士と鉄筋工、立場の違う2人の運命が、交差する……
大宮の地にそびえたつ地上35階建ての超高層ビル。それはフロアがねじれながら、巨大な螺旋を描くという、特異な構造をもっていた。設計士・犬飼と鉄筋工・隼人、ふたりの毎日もビルが投影したかのように不安定になり、ついにゆがんだ日常は臨界点を超える。圧巻の構想力と、並はずれた筆力で描く傑作長編。
ISBN: 9784062757980ASIN: 4062757982
作品考察・見どころ
吉田修一が放つ本作は、冷徹な建造物と揺れ動く人間の深淵が共鳴し合う様を峻烈に描いた傑作です。大宮に屹立する「捻じれた」ビルは、現代社会の歪みと個人の空虚を象徴する巨大な生命体として機能しています。重力に抗う鉄骨の堅牢さと、それに反比例して摩耗していく設計士と労働者の精神描写は、読者の足元さえも揺らがせる圧倒的な筆致で迫ります。 知的な設計図と野性的な肉体が、ビルの完成を前に不可解な運命の渦へと飲み込まれていく過程は、正に言葉で構築された文学的ランドマークです。日常の皮膜が破れ、狂気と平穏の境界線が溶解していく静謐な破壊の美学。ページをめくるごとに増していく不穏な熱量と、魂が軋む音を、ぜひその五感で受け止めてください。