吉田修一
充実の上海ブックフェア、NYのテニス観戦、そして愛猫の金ちゃん銀ちゃんのこと……。ANA機内誌連載エッセイ、いきなり文庫化!
吉田修一といえば重厚なドラマの名手ですが、本書ではその眼差しが驚くほど軽やかで温かな色彩を帯びています。旅の高揚感と愛猫への慈しみ。小説で見せる鋭利な洞察とは対照的な、著者の「素」が滲む筆致は、読む者の心を優しく解きほぐす魔法のような力を持っています。 「コロナ以前」という今や戻れぬ光景が、一種の郷愁を誘う文学的記録へと昇華されています。自由な移動と祝祭に満ちた日々がこれほど愛おしい。私たちが失いかけていた世界の広さと、日常の尊さを再発見させてくれる、極上の読書体験を約束してくれる一冊です。