あらすじ
亡霊たちの前で演奏する琵琶法師の話「耳なし芳一」、吹雪の夜にやってくる恐ろしくも美しい女の話「雪女」、坂の途中に現れるのっぺらぼうの話「むじな」など・・日本中に知られる怪談話は、明治時代にラフカディオ・ハーン(=小泉八雲)というアイルランド出身の作家によって書かれた。妻の小泉セツが、さまざまな民話や怪談を語って聞かせ、その創作を手伝ったという。本書は1904年に出版された小泉八雲の『怪談』に収録された17篇の短編を紹介する。読みやすい現代語と、詳しい解説によって、小泉八雲の世界を、新鮮に味わうことができる。
ISBN: 9784652207062ASIN: 4652207069
作品考察・見どころ
小泉八雲が紡ぐ怪異は、恐怖を超えた日本人の精神の源流を映し出しています。アイルランド出身の彼が妻セツの語りを通じて辿り着いたのは、美しさと哀しみが溶け合う幽玄の世界です。異邦人の視点ゆえに研ぎ澄まされたその筆致は、目に見えない存在の息遣いまでも鮮烈に蘇らせ、読者の魂を激しく揺さぶります。 物語の深層には普遍的な人間心理が文学的に昇華されており、読み進めるほどに異界との境界が溶ける恍惚を覚えるでしょう。夫婦の絆が生んだこの傑作は、日本の叙情を留める祈りの結晶です。今こそ、この美しくも凄絶な闇を彷徨い、私たちの中に眠る根源的な情景を再発見しようではありませんか。

