あらすじ
ISBN: 9784344410367ASIN: 434441036X
児童失踪事件が続く白峠村で、作家の道尾が聞いた霊の声。彼は恐怖に駆られ、霊現象探求所を営む真備のもとを訪れる。そこで目にしたのは、被写体の背中に人間の眼が写り込む、同村周辺で撮影された4枚の心霊写真だった。しかも、彼ら全員が撮影後数日以内に自殺したという。これは単なる偶然か? 第5回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞作。
道尾秀介の原点にして、ホラーとミステリが奇跡的に融合した傑作です。本作の真髄は、単なる怪異の描写に留まらず、人間の心の深淵に潜む「罪」や「孤独」を緻密なロジックで解き明かす点にあります。著者の分身とも言える語り手の視点を通じて、日常が静かに異界へと侵食されていく戦慄は、読者の魂を激しく揺さぶります。 背中の「眼」という異形が、過去の傷痕を象徴する構成は見事です。論理的な推理が深まるほど恐怖の輪郭が鮮明になる逆説的な筆致は、知的好奇心と本能を同時に刺激します。霧深い村の情景に秘められた悲哀と、ページを捲るたびに増す緊迫感。読後は、視線の存在に怯えるような心地よい余韻に包まれるはずです。