あらすじ
国民的スターって、今、いないよな。…… いや、もう、いらないのかも。誰もが発信者となった今、プロとアマチュアの境界線は消えた。新時代の「スター」は誰だ。「どっちが先に有名監督になるか、勝負だな」新人の登竜門となる映画祭でグランプリを受賞した立原尚吾と大土井紘。ふたりは大学卒業後、名監督への弟子入りとYouTubeでの発信という真逆の道を選ぶ。受賞歴、再生回数、完成度、利益、受け手の反応ーー作品の質や価値は何をもって測られるのか。私たちはこの世界に、どの物差しを添えるのか。ベストセラー『正欲』と共に作家生活10周年を飾った長編小説が待望の文庫化。
ISBN: 9784022650924ASIN: 4022650923
作品考察・見どころ
朝井リョウ氏が放つ本作は、表現の民主化が進んだ現代における「プロとアマの境界線」を鋭く解剖した野心作です。伝統的な映画制作とYouTube。対極の道を行く二人の若者の葛藤は、数値化される人気と孤高な完成度の間で揺れる、現代の表現者が抱く剥き出しの業そのものです。 何をもって作品の価値を測るのか。読者は物語を通じ、自らの内にある「物差し」を激しく揺さぶられることでしょう。情報の濁流の中で真の光を追い求める姿は、残酷なまでに美しい。今の時代を生きる全ての人に捧げられた、魂を震わせる至高の一冊です。