朝井リョウは、人間の自意識が持つ醜悪さと愛おしさを同時に描き出す稀代のストーリーテラーです。本作は名作『何者』の余白を埋める短編集に留まらず、「特別でありたい」と願う傲慢な自分に裏切られ続ける人間の業を、冷徹かつ慈しみを持って暴き出しています。
読者は各篇を通じ、かつての若者たちが社会の中で「何様」かを演じ、葛藤する姿に再会します。就活という狂騒を抜けた先にあるのは、何者にもなれないまま続いていく果てしない生の現実です。活字から滲み出る鋭利な洞察と、剥き出しの人間賛歌に、あなたの魂は激しく揺さぶられるはずです。