朝井リョウの真骨頂は、肥大した自意識と肉体の不全を、一切の妥協なく「至高の娯楽」へと昇華させる超絶的な言語感覚にあります。本作は、現代を代表する知性が日常の摩擦や生理現象に全力で対峙し、精緻な語彙を尽くしてその滑稽さを描き切った、究極の自己解体文学です。
ただ笑えるだけでなく、そこには大人にならざるを得ない人間の哀しみと、それでも消えない個の叫びが凝縮されています。全力で空回りする著者の姿は、読者の心の奥底に潜む「不器用な自分」を力強く肯定してくれるはずです。これこそが、知性の無駄遣いを極めた、現代最高峰のエンターテインメントなのです。