朝井リョウ
今日、わたしはさよならする。図書室の先生と。退学してしまった幼馴染と。生徒会の先輩と。部内公認で付き合ってるアイツと。放課後の音楽室と。ただひとり心許せる友達と。そして、ずっと抱えてきたこの想いと―。廃校が決まった地方の高校、最後の卒業式。少女たちが迎える、7つの別れと旅立ちの物語。恋愛、友情、将来の夢、後悔、成長、希望―。青春のすべてを詰め込んだ、珠玉の連作短編集。
朝井リョウが描くのは、単なる別れの感傷ではなく、昨日までの自分を脱ぎ捨てる痛切な決意です。廃校という「場所の死」を背景に、少女たちの秘めた激情が、繊細な観察眼で綴られます。一言では言い表せない感情の揺らぎを、言葉で鮮明に輪郭づける手腕は、まさに著者の真骨頂といえます。 映画版が校舎の空気感で「喪失」を美しく補完したのに対し、原作は独白を通じて彼女たちの内なる熱量を鋭く抉り出しています。映像では捉えきれない、文字の奥に潜む「声」に触れたとき、青春という残酷で眩い季節がより立体的に胸に迫るはずです。
朝井 リョウ は、日本の小説家、ラジオパーソナリティ。2013年、『何者』で第148回直木三十五賞受賞。直木賞史上初の平成生まれの受賞者であり、男性受賞者としては最年少(23歳)である。2026年には『イン・ザ・メガチャーチ』で第23回本屋大賞を受賞した。
実写化・アニメ化された映画やドラマを観て、原作小説ならではの美しい心理描写や、映像化で新たに加えられた解釈・演出との違いを楽しみましょう。