あらすじ
ISBN: 9784167697143ASIN: 4167697149
博多・香椎海岸で発見された、某省の課長補佐と料亭の女の死体。一見して疑いようのない心中事件と思われたが、その裏には汚職をめぐる恐るべきワナが隠されていた。時刻表を駆使した精緻なトリックと息をのむアリバイ崩し。著者の記念碑的作品となったトラベル・ミステリーが、風間完画伯の挿画入りであざやかによみがえる。
松本清張が放った本作の真髄は、精緻な時刻表トリックの裏側に、汚職という巨大な闇に呑まれる人間の業と悲哀を鮮烈に描き出した点にあります。単なる謎解きの枠を超え、冷徹な筆致で社会の歪みを告発する文学的重厚さこそが、本作を不朽の名作たらしめているのです。 映像化作品では視覚的な緊張感が強調されますが、原作はテキストだからこそ到達できる執念の心理描写が圧巻です。地道な足跡を辿る刑事たちの孤独な闘志は、映像以上に読む者の魂を激しく揺さぶるでしょう。昭和の熱気と人間の孤独が交錯する極上のサスペンスを、ぜひその目でお確かめください。

実写化・アニメ化された映画やドラマを観て、原作小説ならではの美しい心理描写や、映像化で新たに加えられた解釈・演出との違いを楽しみましょう。