あらすじ
ISBN: 9784062776745ASIN: 406277674X
ーー今だから、言えるんだ。
ふたをしてきた家族の過去。それに向き合う時がくる。
人の想いは思いもかけない場所に現れることがある。たとえば写真とか。英一の小学生の弟、光(ピカ)の様子がおかしい。友人のテンコによれば、彼は写眞館の元主(もとあるじ)、小暮さんの幽霊に会いたいのだという。そして垣本順子、英一と家族、各々が封印してきた過去が明らかになる。読書の喜びがここにある。感動の結末へ。
宮部みゆきが描く本作の本質は、怪異の裏に潜む「人間の痛み」の昇華にあります。写真は亡き者の伝言ではなく、今を生きる人々の孤独が形を成したもの。著者の慈愛に満ちた筆致はそれらを優しく包み込み、読者の心にある「忘れ物」を鮮やかに蘇らせます。 実写版が俳優の表情で情緒を補完したのに対し、原作の真髄は言葉で尽くされる深い内省にあります。下巻で描かれる家族の再生は、映像のテンポを超えた文字ならではの重厚な感動を呼び起こすでしょう。視覚的な美しさを映像で、魂の機微を小説で。この相乗効果こそが、物語を深く愛するための鍵なのです。