あらすじ
衝撃の結末に心がざわつき、いやな後味が残るミステリーが「イヤミス」。
本書は、好評を博した第一弾『あなたの不幸は蜜の味』と同じく、女性作家による鳥肌必至の「イヤミス」傑作短篇を集めたアンソロジー。
自分で気づかないうちに生徒を傷つけていた人気教師の身に、十三年後に起こったことを描く「パッとしない子」(辻村深月)。
都心のマンションから郊外の公社住宅に「都落ち」した一家が遭遇した人間関係の闇に、読む者の身の毛がよだつ「コミュニティ」(篠田節子)。
東京という都市の持つイメージに絡めとられ、破滅した二人の女性を描く「裏切らないで」(宮部みゆき)など、読み出したら止まらない、「嫌度数」マックスの作品が揃いました。
人間の「怖い」本質に、目を背けることなく立ち向かいたいあなたにおすすめの一冊。
書き下ろし二作を加え、さらにパワーアップした「イヤミス傑作選」第二弾!
ISBN: 9784569902364ASIN: 4569902367
映画・ドラマ版との違い・考察
日本を代表する名手たちが、人間の業を蜜へと昇華させた珠玉の短編集です。宮部みゆきや辻村深月といった作家陣が描くのは、単なる悪意ではなく、善良さの裏側に潜む歪んだ自尊心や執着心です。読み手は鏡を見るような戦慄を覚えつつも、その洗練された筆致に抗えず、心の深淵へと引きずり込まれていく、抗いがたい魔力に満ちています。 映像化作品では視覚的な演出によって不穏な空気感が強調されていますが、原作の真髄は、活字だからこそ表現できる独白の密度の濃さにあります。映像が突きつける鮮烈な絶望感と、テキストが読者の脳内に植え付ける湿り気を帯びた恐怖。この二つが重なり合うことで、他人の不幸を啜る人間の本質がより残酷に、かつ美しく浮かび上がるのです。