あらすじ
キャリア女子会の筆頭・加賀美晴子が、女性初の警視長に昇任した。彼女は、かねてより敵視していた小宮山警視長に苦言を呈しに行くが、「あれを隠したのか?」と意味不明の詰問を受けてしまう。不思議に思いつつ、業務に邁進する加賀美だが、ある夜、何者かに襲われる。恐怖を抱く彼女からの依頼に応じ、警備を強化し、監察官として調査を始めた小田垣観月は、一人の刑事を捜査対象とするが、数日後、彼は遺体となって発見された。少しずつ食い違う情報に戸惑う観月だが……。一方、観月の故郷の知人であり、公安Jこと小日向純也によって、新たな人生を送り始めた関口貫太郎にも、最後の試練が降りかかろうとしていた。彼の運命を変えてしまう意外な人物とは……。「警視庁公安J」「警視庁組対特捜K」「警視庁監察官Q」「警視庁監察官Q ZERO」の全シリーズ累計85万部突破! それぞれの作品の登場人物が複雑に絡まっていく、書き下ろし人気シリーズ第5弾!
ISBN: 9784022652300ASIN: 4022652306
作品考察・見どころ
鈴峯紅也が描く本作の真髄は、冷徹な組織で個々の正義が火花を散らす峻烈なドラマにあります。監察官・小田垣観月が対峙するのは、権力の闇に潜む歪んだ自尊心と、組織の歯車として生きる者たちの哀しき業です。他シリーズの魂が合流する壮大な世界観が、警察小説の枠を超えた圧倒的な奥行きを与えています。 情報の齟齬が死へ直結する緊迫感の中、加賀美の矜持と関口の運命が交錯する瞬間は圧巻です。境界線を越えた先に待つ真実は、正義の定義を根底から揺さぶる熱量を放っています。組織の闇を暴く監察官の視点から人間の尊厳を問い直す、シリーズ随一の衝撃作といえるでしょう。