宮部みゆき
家族とともに古い写眞館付き住居に引っ越ししてきた高校生の花菱英一。変わった新居に戸惑う彼に、一枚の写真が持ち込まれる。それはあり得ない場所に女性の顔が浮かぶ心霊写真だった。不動産屋の事務員、垣本順子に見せると「幽霊」は泣いていると言う。謎を解くことになった英一は。待望の現代ミステリー。
宮部みゆきが描くのは、怪異を通して炙り出される人間の哀切と希望です。本作の真髄は、心霊写真の謎解きを借りて、家族の再生や思春期の揺らぎを優しく、かつ鋭く描いた点にあります。一枚の紙に定着された過去の残像が、今を生きる者の心を解きほぐしていく過程は、比類なき文学的カタルシスをもたらします。 映像版では写真の哀しみが鮮烈に可視化されましたが、原作には行間に潜む繊細な心の機微がより克明に刻まれています。映像を入り口にしても、文字で綴られる緻密な心理描写を辿ることで、物語はより重層的な感動へと昇華されるはず。両メディアを往復することで、この物語が持つ真の深淵に触れてください。
宮部 みゆき は、日本の小説家。東京都江東区生まれ。
実写化・アニメ化された映画やドラマを観て、原作小説ならではの美しい心理描写や、映像化で新たに加えられた解釈・演出との違いを楽しみましょう。