あらすじ
ISBN: 9784103361534ASIN: 4103361530
「このまま終わっちゃうの?」2020年、愛媛県の済美と石川県の星稜、強豪2校に密着した元高校球児の作家は、彼らに向き合い、“甲子園のない夏”の意味を問い続けた。退部の意思を打ち明けた3年生、迷いを正直に吐露する監督…。パンデミックに翻弄され、挑戦することさえ許されなかったすべての人に捧げる「あの夏」の物語。
早見和真が描くのは、甲子園を奪われた少年たちの「空白」への眼差しです。安易な同情や美談を拒絶し、期待された未来が消えた後の球児たちの絶望と、そこから絞り出された「生の声」を掬い上げる筆致は、一級の文学的強度を誇っています。 本作の本質は、正解のない問いに向き合い続ける人間の尊厳にあります。大人の押し付ける物語を撥ね除け、自分たちだけの納得を模索する姿は、読者に「目標なき努力の価値」を激しく突きつけます。喪失の中で見つけた光は微かで尊い。著者の情熱が、青春の残酷さと美しさを浮き彫りにした傑作です。