あらすじ
ISBN: 9784488451110ASIN: 448845111X
ここにあるべきではない四番目のマカロンの謎、マスタードが入った当たりのあげパンの行方。なぜかスイーツがらみの謎に巻き込まれがちな、小鳩君と小佐内さんの探偵行。「小佐内先輩が拉致されました!」「えっ、また?」お待たせしました、日々つつましく小市民を目指す、あの互恵関係のふたりが帰ってきます。人気シリーズ11年ぶりの最新刊、書き下ろし「花府シュークリームの謎」を含めた番外短編集。四編収録。
米澤穂信が描く日常の謎は、甘美なスイーツの裏側に潜む人間の業を鮮やかに浮き彫りにします。本作は単なる謎解きに留まらず、慎ましく「小市民」を志向しながらも、卓越した洞察力を抑えきれない二人の矛盾した美学が最大の魅力です。マカロンなどの身近な素材が、論理のメスで解体される瞬間のカタルシスは、ミステリとしての気品と知的な悦びに満ちています。 特筆すべきは、小鳩君と小佐内さんの間に流れる「互恵関係」という名の冷徹で親密な距離感です。淡々とした筆致の中に潜む鋭い人間観察と、洗練されたプロットが融合した本作は、日常の隙間にこそ真のドラマが潜んでいることを教える至高の一冊です。静かな熱量を孕んだ二人の探偵行は、読者の心を掴んで離さない魔力を持っています。
