あらすじ
ISBN: 9784087468182ASIN: 4087468186
五つの物語にひそむ秘密。精緻な本格ミステリ
古書店に居候する芳光は、依頼を受けて五つのリドルストーリーを探し始める。やがてその著者が、未解決事件の被疑者だったことを知り──。精緻でほろ苦い、大人の本格ミステリ。(解説/葉山 響)
米澤穂信が放つ本作は、五つの結末なき物語を巡る、極めて知的で静謐な迷宮です。文学的な見所は、言葉の端々に潜む沈黙の重みにあります。単なる謎解きに留まらず、言葉の余白に託された真実を掘り起こす過程は、凍てついた記憶を指先でなぞるような、震えるほど繊細でほろ苦い耽美性に満ちています。 真相が明かされた瞬間に立ち上がるのは、救いようのない孤独と、それでもなお消えない人間の業の深さです。過去を追想することは、残酷な傷口を広げる行為でもある。そんなミステリの枠を超えた人間心理の深淵を、米澤氏は冷徹かつ叙情的な筆致で描き出しました。この知的興奮と切なさが混ざり合う至高の体験を、ぜひその身で味わってください。
