あらすじ
たがいに助け合い、完全な小市民を目指そう。かつて“知恵働き”と称する推理活動により苦い経験をした小鳩くんは、清く慎ましい小市民を目指そうと決意していた。同じ志を立てた同級生の小佐内さんとたがいに助け合う“互恵(ごけい)関係”を密かに結び、小市民としての高校デビューを飾り平穏な日々を送るつもりでいたのだ。ところがふたりの学園生活に、なぜか不可解な事件や災難が次々と舞い込んでくる。はたして小鳩くんと小佐内さんは、小市民としての穏やかな日々を手に入れることができるのだろうか。
作品考察・見どころ
本作の真髄は、平穏な日常を希求しながらも知的好奇心に抗えない人間の矛盾を、極めて耽美かつ鋭利な演出で描き出した点にあります。静謐な空気に潜む不穏さを、光彩の鮮やかなコントラストや計算し尽くされた構図によって視覚化する手腕は見事というほかありません。
梅田修一朗と羊宮妃那による、抑制の効いた演技の奥に潜む知性と微かな狂気は、観る者の心を深く捉えます。善良な「小市民」という仮面を被りながらも、その奥底に渦巻く執着が映像表現を通じて鮮烈に浮かび上がる瞬間こそが、本作が放つ至高の魅力であり、唯一無二の鑑賞体験を約束してくれます。