追想五断章
あらすじ
ISBN: 9784087713046ASIN: 4087713040
古書店アルバイトの大学生・菅生芳光は、報酬に惹かれてある依頼を請け負う。依頼人・北里可南子は、亡くなった父が生前に書いた、結末の伏せられた五つの小説を探していた。調査を続けるうち芳光は、未解決のままに終わった事件“アントワープの銃声”の存在を知る。二十二年前のその夜何があったのか?幾重にも隠された真相は?米澤穂信が初めて「青春去りし後の人間」を描く最新長編。
米澤穂信が、過去という名の空白に挑んだ白眉の逸品です。五つの物語の断片を辿る旅は、単なる謎解きを超え、かつて何者かであった人々の悔恨を浮き彫りにします。虚構と現実が交錯する精緻な構造が、隠された真実を鮮烈に描き出し、読み手の心を深く揺さぶります。 特筆すべきは、青春を過ぎた人間が背負う沈黙の重みです。断片が繋ぎ合わされたとき、私たちは残酷なほど美しい悲劇の全貌を目の当たりにします。解決の先に残るのは、割り切れない人生を生きる者への慈しみ。静謐な文体の中に情念を秘めた、至高のミステリです。
