米澤穂信/本多孝好/中村航/関口尚/井上荒野/西加奈子
個性あふれる作家陣が、大人への階段を上ろうとする人生の一瞬を鋭くとらえた短編作品10本を集めたアンソロジー。大人未満な時期のほろ苦い記憶と重ね合わせて楽しんでほしい一冊。(解説/三田誠広)
米澤穂信や西加奈子ら名手たちが「大人への過渡期」という閃光を切り出した珠玉の一冊です。本書の本質は、純粋さが現実の苦みを帯び始める変化の痛みを、鋭い文体で文学的に昇華させている点にあります。作家陣の個性が共鳴し、学校という揺り籠の中で育まれる残酷なまでの繊細さが、読み手の心の奥底にある記憶を激しく揺さぶります。 ここには、言葉にできない孤独や微かな自意識が剥き出しのまま息づいています。読み進めるほどに、私たちはかつての自分が抱えていた「大人未満」の危うさと再会し、その不器用な魂の震えに深い共鳴を覚えるはずです。人生の岐路に立つすべての人へ、忘れえぬ感傷と洞察を贈る最高密度の文芸体験です。