谷崎潤一郎全集. 第12巻
あらすじ
ISBN: 9784124035728ASIN: 4124035721
記者がのぞきみた先生の秘密「蘿洞先生」、推理小説的な分身譚「友田と松永の話」、横浜を舞台に美少女に貢ぐ中年男を描いた「青い花」、芥川龍之介との論争に発展した「饒舌録」、話題を呼んだ翻訳「グリーブ家のバアバラの話」など、残酷でエロティックな短篇を中心に、大正末から昭和初年の作品群を収載する。
谷崎潤一郎の耽美的な感性が、残酷で甘美な「魔」の領域へ足を踏み入れた奇跡の記録です。東洋的陰翳と西洋的快楽が混ざり合い、醜悪な欲望を至高の美へ昇華させる錬金術がここに結実しました。分身や覗き見といった歪んだ愛を通じて暴かれるのは理性を凌駕する業の深さ。読者はその背徳的な筆致に、抗い難い悦楽を覚えるでしょう。 「友田と松永の話」や「青い花」など、凄惨な官能を端正な文体で綴る本作は、白日の下に狂気をさらけ出します。芥川との論争に裏打ちされた鋭い知性と、狂気的な情念が同居する本巻は、まさに日本文学が到達した「美の地獄」への招待状といえるはずです。
谷崎 潤一郎 は、日本の小説家。明治末期から昭和中期まで、戦中・戦後の一時期を除き終生旺盛な執筆活動を続け、国内外でその作品の芸術性が高い評価を得た。日本芸術院会員、文化功労者、文化勲章受章者。ノーベル文学賞候補者。