谷崎潤一郎
盲目の三味線師匠に仕える佐助の、愛と献身を描いた物語。大阪の薬種問屋の娘琴は才があり美しかったが九歳で失明し、手代佐助に引かれて琴三絃の稽古に通ううち、たちまち頭角をあらわし衆にぬきん出る。二十一歳のとき春琴は弟子のひとりに熱湯をかけられ美貌が傷つけられたと思い込む。佐助は彼女の面影を脳裡に永遠に保持するため、自分で自分の目をつぶして盲目の世界に入る。
谷崎潤一郎が描く本作は、究極の献身と耽美の極致です。春琴と佐助の倒錯した関係は、単なる愛を超え宗教的法悦へと昇華されています。独特の流麗な文体は、読者の視覚をも奪い、暗闇の中で研ぎ澄まされる「真実の美」の世界へと強烈に引き込みます。 映像作品が凄惨な美を具現化する一方、原作の真髄は「書かれざる余白」にあります。テキストが誘う想像力は、佐助の脳裏にある黄金の幻影を、映像以上に鮮烈に描き出すはずです。視覚を絶つことで永遠を掴んだ二人の精神世界を、ぜひ文字の深みから体感してください。
実写化・アニメ化された映画やドラマを観て、原作小説ならではの美しい心理描写や、映像化で新たに加えられた解釈・演出との違いを楽しみましょう。
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