陰翳礼讃
谷崎潤一郎
発売日: 創元社
あらすじ
谷崎 潤一郎 著 A5判 416ページ 価格3,500円+税 ISBN978-4-86251-553-7 シリーズ第3巻、表題作の「陰翳礼讃」は、まだ電灯がない時代の西洋の文化と日本の文化の陰翳に対する考え方の違いを建築、照明、紙、食器、能や歌舞伎の衣装の色彩など、多岐に渡り考察している。 「吉野葛」は、大和の吉野を舞台に歴史小説を書くために旧友を訪ねる。吉野に伝わる風物や伝説などが感じられる作品。「蘆刈」と共に、谷崎中期の傑作を収載。 目次 陰翳礼讃 吉野葛 蘆刈 著者プロフィール 谷崎 潤一郎(タニザキ ジュンイチロウ) 1886年(明治19年)~1965年(昭和40年)。東京・日本橋生まれ。明治末期から昭和中期まで、戦中・戦後の一時期を除き執筆活動を続け、国内外でその作品の芸術性が高い評価を得た。主な作品に「刺青」「痴人の愛」「春琴抄」「細雪」など、傑作を多く残している。
ISBN: 1009510247206
作品考察・見どころ
谷崎潤一郎が到達した美の極致がここにある。表題作「陰翳礼讃」は、単なる懐古趣味ではない。近代的な「明るさ」が塗り潰した闇の深淵にこそ、日本独自の美意識が宿ると喝破する文明論的な挑発だ。彼は万物の輪郭を曖昧にすることで、逆説的に真実の艶を浮かび上がらせる。 中期の傑作「吉野葛」「蘆刈」で見せる文体もまた圧巻だ。歴史と虚構が混濁し、古の幻影が読者の視界を妖しく彩る。それは言葉という光で綴られた、目に見えぬ美への盲目的な憧憬である。視覚情報に溺れる現代において、闇の豊饒さを説く本作は、失われた感性を呼び覚ます至高の招待状といえるだろう。

