吉野葛・蘆刈
谷崎潤一郎
発売日: 角川書店
あらすじ
明治・大正・昭和を代表する作家・詩人の名作を集成した文学全集。収録作品は、谷崎潤一郎の「吉野葛」「蘆刈」。
ISBN: 1009510123287
作品考察・見どころ
吉野葛と蘆刈は、谷崎潤一郎が古典回帰へと舵を切った中期の白眉であり、現実と幻影が溶け合う幽玄の美を極めた傑作です。歴史の面影を辿りながら母性への憧憬を昇華させる語り口は、読者を甘美な迷宮へと誘います。単なる物語を超え、言葉そのものが持つ典雅な響きが、失われた日本の美意識を鮮烈に呼び覚ますのです。 特筆すべきは、視線が捉える陰影の美学です。月光や闇に浮かび上がる女性像は、官能的でありながら清廉な神秘性を湛え、谷崎特有の執着が至高の芸術へと昇華されています。行間に漂う情緒を肌で感じる贅沢は、活字という媒体でしか味わえません。時代を超えて読者の魂を揺さぶり続ける、真に贅沢な読書体験がここにあります。

