谷崎潤一郎全集. 第10巻
あらすじ
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谷崎潤一郎の筆致が最も妖艶かつ円熟味を帯びる中期の傑作群が収められたこの巻は、美への偏愛が極限まで高められた迷宮です。人間の業や歪んだ愛着を、冷徹なまでの観察眼と端正な文体で描き出す手腕は圧巻で、読者はただその耽美な世界に溺れるほかありません。西洋的な価値観と日本伝統の情緒が激しく火花を散らす物語の奥底には、時代を超越した普遍的な孤独と渇望が静かに横たわっています。 特筆すべきは、言語という刃で読者の倫理観を切り刻み、陶酔へと誘う圧倒的な語りの魔力です。登場人物たちが織りなす複雑な愛憎劇は、単なる通俗性を超え、人間の深淵を照らし出す崇高な芸術へと昇華されています。一文字ごとに立ち上る濃密な官能と、静謐ななかに潜む狂気。これこそが谷崎文学の本質であり、一度足を踏み入れれば二度と戻れない魅惑の読書体験を約束してくれるでしょう。