あらすじ
ISBN: 9784488730017ASIN: 4488730019
その途轍もない“巨人”は一定周期で現れ、ただ人々の上を歩いてゆく、進化の輪から完全に独立した存在だった―圧倒的な筆力で描かれた表題作、どことも知れぬ宿で二人の人物が酒を酌み交わす「蒼い旅篭で」、雪山で遭難した男の幻想譚「山を生んだ男」など、宇宙と人間の有り様を凝縮した傑作や“サイコダイバー”シリーズの原型作の他、「カエルの死」等の活字絵物語を収録。
夢枕獏の筆致は、血肉の通った生々しい鼓動と、悠久の宇宙を俯瞰する視線が同居する。表題作に象徴される「巨大な存在」への畏怖は、読者の生存本能を揺さぶり、我々がいかに矮小で尊い生命であるかを突きつける。生命の根源を問う神話的想像力こそが、本作を単なる娯楽を超えた「文芸」へと昇華させている。 映像版では圧倒的なスケール感が視覚的な暴力として迫るが、真の深淵は活字の中に眠る。映像が補完した動的な迫力に対し、原作は沈黙の行間に潜む「宇宙の孤独」を克明に描き出すのだ。両者を往来することで、巨人の足音は魂を震わせる根源的な響きへと変貌する。この重層的な恐怖と恍惚こそ、本作が放つ唯一無二の魅力に他ならない。

実写化・アニメ化された映画やドラマを観て、原作小説ならではの美しい心理描写や、映像化で新たに加えられた解釈・演出との違いを楽しみましょう。
映像化情報を読み込めませんでした(著者の権利情報など)。