劉家の妖物が歌った詩が、李白の「清平調詞」であり、それはこの時代を遡ること約六〇年前、玄宗皇帝の前で、楊貴妃の美しさを讃えるために歌いあげられたものである―。それを空海に示唆したのは、白居易という役人であった。当時、李白はこれをきっかけに玄宗の寵遇を得たが、それを妬んだ宦官の高力士の讒言により、後に長安を追われることとなったという。それを知った空海は、楊貴妃の墓所がある、馬嵬駅に赴く。劉家と綿畑の怪は、安禄山の乱における楊貴妃の悲劇の死に端を発すると喝破した空海は、貴妃の墓を暴くことを決意する。墓の前で、空海は白居易―のちの大詩人・白楽天と初対面する。白は、詩作の悩みを、空海に打ち明けるのだった...。