あらすじ
劉家の妖物が歌った詩が、李白の「清平調詞」であり、それはこの時代を遡ること約六〇年前、玄宗皇帝の前で、楊貴妃の美しさを讃えるために歌いあげられたものである―。それを空海に示唆したのは、白居易という役人であった。当時、李白はこれをきっかけに玄宗の寵遇を得たが、それを妬んだ宦官の高力士の讒言により、後に長安を追われることとなったという。それを知った空海は、楊貴妃の墓所がある、馬嵬駅に赴く。劉家と綿畑の怪は、安禄山の乱における楊貴妃の悲劇の死に端を発すると喝破した空海は、貴妃の墓を暴くことを決意する。墓の前で、空海は白居易―のちの大詩人・白楽天と初対面する。白は、詩作の悩みを、空海に打ち明けるのだった...。
ISBN: 9784198618797ASIN: 4198618798
作品考察・見どころ
夢枕獏氏が描く本作は、唐代の裂け目から情念を汲み出す極上の伝奇小説です。空海と白楽天が楊貴妃の死の真相に迫る過程は、単なる謎解きに留まりません。言葉が呪となり、美が怨念へ変じる。その凄絶な美学こそが、官能的でダイナミックな筆致により、妖しく瑞々しく立ち上がります。 映像版が圧倒的な色彩美で歴史を彩る一方、原作には空海の超人的な知性と、鬼たちのやりきれない悲哀がより重厚に綴られています。文字でしか触れられない思考の深淵と、映像のスペクタクルを往復することで、物語は真の完成を迎えるのです。この芳醇な呪の世界に、ぜひ心まで浸ってください。





















