あらすじ
浅草にある老舗おもちゃ会社で働く富田宝子は、ガーリーなものが大好きで楚々として控えめな外見とは裏腹に、好きなものに対するパワーと想像力の豊かさを持ってして、敏腕プランナーとして活躍している。そんな彼女は、仕事のできない取引先のデザイナー西島に恋をしているが、五年も想いを伝えられずにいる。何の因果か次から次へと災難に見舞われる彼のため、持ち前の機転と自社のおもちゃを駆使し、SPのごとくトラブルを解決していく宝子。けれど西島はそんな宝子の奮闘にはまったく気がつかず?! 同僚や同居人も巻き込んで、宝子の恋が向かう先は。ひとりの女性が大切な気持ちと向き合うまでを描く、成長の物語。
ISBN: 9784488494117ASIN: 4488494110
作品考察・見どころ
柚木麻子作品の真骨頂は、一見控えめな女性が内に秘めた狂気的な情熱を肯定する筆致にあります。本作の主人公・宝子もまた、玩具作りの知恵を武器にした無敵の行動力を隠し持っています。彼女が繰り出す奇想天外な救出劇は単なる片想いの域を超え、自分の愛する世界を自らの手で守り抜くという、気高き職業倫理と人間賛歌に満ちています。 精巧なぜんまい仕掛けのように緻密な物語は、読者の心を躍らせます。おもちゃという遊びの道具で現実に立ち向かう彼女の姿は、滑稽ながらも震えるほど愛おしい。一方的な想いが自立へと昇華される瞬間の眩しさは、読み手の魂を揺さぶります。読後、自分の好きという感情を誇らしく思える、至高の成長譚です。







