あらすじ
池井戸潤の最新長編の舞台は、 「東京箱根間往復大学駅伝競走」――通称・箱根駅伝。 青春をかけた挑戦、意地と意地のぶつかり合いが始まる。 ついに迎えた1月2日、箱根駅伝本選。 中継を担う大日テレビのスタッフは総勢千人。 東京~箱根間217.1kmを伝えるべく奔走する彼らの中枢にあって、 プロデューサー・徳重はいままさに、選択を迫られていた――。 テレビマンの矜持(きょうじ)を、「箱根」中継のスピリットを、徳重は守り切れるのか? 一方、明誠学院大学陸上競技部の青葉隼斗。 新監督の甲斐が掲げた「突拍子もない目標」の行方やいかに。 そして、煌(きら)めくようなスター選手たちを前に、彼らが選んだ戦い方とは。 全てを背負い、隼斗は走る。
ISBN: 9784163917733ASIN: 416391773X
映画・ドラマ版との違い・考察
池井戸潤が描く本作の真髄は、襷を繋ぐ走者とそれを届けるテレビマンの「矜持」が重なり合う多層的な熱量にあります。組織の葛藤とランナーの孤独な闘いが共鳴する瞬間は、単なるスポーツ小説の枠を越え、読む者の魂を激しく揺さぶります。 映像化で箱根の風景や肉体の躍動が可視化される一方、原作は個々の切実な独白や中継裏の緊迫した戦略を緻密に描き出します。映像の迫力と小説の精神的深みが補完し合い、物語の生命力は最高潮に達します。両者を味わうことで、箱根駅伝という聖域の真価が鮮烈に立ち上がるのです。