柚木麻子は、女性のままならない自意識を鮮やかに描き出す名手です。本作は名門大学というラベルに縛られ、知的であろうと願いながらも嫉妬や執着に足掻く女子たちの生態を活写しています。社会的な鎧がかえって彼女たちの心を剥き出しにし、真のアイデンティティを問うていく過程が、圧巻の筆致で綴られています。
物語の核心は、不器用な迷走の中に潜む残酷なまでの自己対峙です。彼女たちが他者との距離感を測り直し、独り立ちしていく姿は、読者の心の古傷を鋭くも優しく抉ります。これは何者かになろうと足掻くすべての女性に捧げられた、魂の救済と再生の賛歌なのです。