あらすじ
ISBN: 9784396635442ASIN: 4396635443
資産家の娘・早百合に意中の相手がいるのか。調査を依頼された探偵の木暮と菜々は、最後の候補者と早百合がスクランブル交差点ですれ違うよう仕向ける。だが、その寸前に、なぜか木暮は早百合に電話を入れた…(「意中の交差点」)。借金苦から、休暇を利用して質屋に押し入った刑事の角垣。逃走中に電柱に衝突するも目撃者はなく、無事逃げおおせた。だが、なぜか上司の南谷は、角垣が犯人だと見抜くのだった…(「ある冬のジョーク」)。とっておきのアイデアを注ぎ込み、ストイックに紡がれた贅沢な作品集。
長岡弘樹が描くミステリの真髄は、冷徹な論理の奥に潜む人間の業にあります。本作は、研ぎ澄まされた観察眼とストイックな文体で、日常の僅かな綻びから真実を導き出す至高の短編集です。道具箱が囁くのは、隠しきれなかった祈りや野心といった、剥き出しの人間性が放つ切実な感情の残響に他なりません。 緻密な伏線が回収される瞬間、読者は論理的な快感と共に、運命の残酷さに打ち震えるでしょう。論理と叙情が極限まで凝縮された本作は、まさに短編の名手が贈る贅沢な一冊です。人間の深淵を覗き見る最高峰の読書体験を、ぜひ堪能してください。