あらすじ
ISBN: 9784150306113ASIN: 4150306117
人は亡くなると、天国の入口でこう言われます。「あなたの人生の中から大切な思い出をひとつだけ選んで下さい」天国に行くまでの7日間で、死者たちは人生最良の思い出を選択するように迫られ、それを職員が再現して映画に撮影し、最終日には上映会が開かれるのである。そこで死者たちは改めて自分の一生を振り返る。懐しさにひたり、後悔したり、思い悩んだ末に彼らが選んだ思い出は...話題の映画を是枝監督自ら小説化。

現代の日本映画界において、最も深い慈愛と鋭い観察眼を併せ持つ至高のヒューマニスト、それが是枝裕和です。カンヌ国際映画祭の頂点であるパルムドールをはじめ、数々の国際的な栄誉に輝く彼は、今や世界が新作を最も熱望する映画作家の一人となりました。早稲田大学を卒業後、テレビドキュメンタリーの世界でキャリアを切り拓いたその出自は、彼の映像言語に唯一無二のリアリズムをもたらしています。デビュー作から一貫して不在や家族の在り方を問い直し、誰も知らない子供たちの孤独や、血縁を超えた絆の揺らぎを、静謐ながらも力強い筆致で描き出してきました。キャリア統計が示す63作品におよぶ膨大な足跡と、平均評価6.8という極めて高い水準は、ドラマやドキュメンタリー、さらには犯罪というジャンルを越境しながら、常に人間性の深淵に肉薄してきた執念の結実です。近年ではフランスや韓国の才能とも共鳴し、国境を越えた映画製作の新たな地平を切り拓いています。制作集団「分福」を主宰し、次代を担う作り手を育むその真摯な姿勢は、映画という文化の未来を繋ぐ灯火そのものです。社会の裂け目から零れ落ちる小さな声を拾い上げる是枝監督の眼差しは、混迷を極める現代において、私たちに寄り添う一筋の光として輝き続けています。
実写化・アニメ化された映画やドラマを観て、原作小説ならではの美しい心理描写や、映像化で新たに加えられた解釈・演出との違いを楽しみましょう。